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診療情報管理士の仕事

医療現場と病院経営を支える、データ管理の専門職。
診療情報の管理、分析, 統計を通して医療の質を高めます

診療情報管理士は、病院で医師が書いた「カルテ」や検査記録をデータベース化し、管理、分析を行う医療情報のエキスパート。
データ化された情報を正確に保管し、それを統計、分析して医療現場に活かすこと、また必要に応じて医師や患者様ご本人、国などに提供するのが主な仕事です。
診療情報管理士の仕事は、業務の内容によって大きく3つに分類できます。

カルテの収集と内容チェック

病棟から、カルテや看護記録、検査記録などを集め、足りない書類がないか、記録に誤りがないかを点検します。
検査の結果や手術記録、診療の経過などが完全に書かれているか、書かれている内容は客観的か、日付や薬の内容は正しいか、手術や治療内容はその患者様に適切だったかなど、確認事項は実に広範囲。
しかし、これが医療の安全や患者様の命につながっているため、間違いや漏れは許されません。正確性と的確な判断が求められる大切な仕事です。 そして、もし記載情報に漏れや間違いがあったら、院長や担当医師に報告して訂正を依頼します。
専門的な用語や英語も多い中、情報を正確に読解し判断しなければならないため、医学の用語や知識、病気や治療に関する専門知識ももちろん必須になります。

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データ入力と「コーディング」

カルテのチェックが終わると、そのデータをコンピュータ入力し、情報を登録していきます。
そして、患者様の病気を分類する「コーディング」と呼ばれる作業を行うのですが、これが、診療情報管理士の業務の中で最も専門性の高い業務といえます。
コーディングは、国連世界保健機関(WHO)が管轄する国際的な疾病分類基準(通称「ICD」)に基づいて患者様の病気を分類する作業。これによって画一的な基準でデータが管理され、正確な統計や分析ができるようになるため、病院の経営や医療の研究、改善に欠かせない大切な業務です。

データの分析と活用、管理

登録したカルテは、必要な時にいつでもスムーズに提供できるよう、規則的に、また確実に保管しておきます。カルテは、患者様の重要な個人情報でもありますから、情報の機密や徹底した管理が第一です。
そして、統計データを作成したり、データを分析することによって、病院の経営に無理やムダがないかをチェックしたり、新しい治療方法の考案、または研究材料として医療機関や国の研究所にデータを提供することもあります。
また、患者様から病気や治療方法について問合せがあったり、時にはクレームがくることもありますが、そういった時に対応することも、診療情報管理士の大切な仕事です。

診療情報管理士は、患者様と接することは極めて少なく、表舞台に立つ仕事ではありませんが、安全な医療を提供し、病院が健全に経営できるように、そして患者様が安心して治療を受けられるように専門的な立場でサポートする、医療の現場になくてはならない存在なのです。

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