なりたい仕事のことを知る ナリカタ

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なりかたを知る

必要な知識・求められる資質

あらゆるジャンルを演奏できる技術は必須、デビューを目指すならば感性やセンスも求められる

音楽が好きで、多くの人に音楽を伝えていきたいという思いが大切なミュージシャンの資質ですが、「プロ」として活躍するためには、楽譜が読めるといった音楽理論の知識、ジャズやブルースなどのさまざまなジャンルを演奏できる技術が必要です。デビューを目指すのであれば、ルックスやファッション性なども求められます。高い技術を求められるスタジオミュージシャン、ライブで活躍するツアーミュージシャンは、演奏よりも年齢やルックスが重要視されることがあります。 演奏だけでなく、作詞、作曲、編曲ができるとさらに仕事が広がります。

SPECIAL MESSAGE

「ミュージシャンになるために必要なこと」

ホップ、ステップ、ジャンプが見えにくいからこそ、
ミュージシャンには「継続する力」が大切

音楽プロデューサー/ベーシスト渡辺敦子さん

プロフィール

「Diamonds」「世界で一番熱い夏」などのヒット曲で知られる、ガールズロックバンド「PRINCESS PRINCESS」のリーダー・ベーシスト。 TSM、TSM渋谷、OSM、NCA、FSM、SCA副校長

「ビジョン」を描けるかがポイント

まずは、音楽が大好きという気持ちが大切。ミュージシャンになるための道にはホップ、ステップ、ジャンプというものが見えにくいので、あきらめずにやり続けるという「継続する力」が重要だと思います。だからこそ、根底に「音楽が大好き」という気持ちがないと続かないと思うんです。そして、その次にビジョン(将来の展望)が描けるかということ。私には「女性バンドで有名になりたい!」という大きな目標がありました。目標があれば、そこにたどり着くためのストーリーが見えて来る。もちろん、計画通りのストーリーにはならないかもしれないけれど、ビジョンを思い描くことによって、そこに一歩でも近づけると思うんです。山の頂上がゴールだとすれば、どのコースを選ぶかも、のぼる速度も人それぞれ。雨が降ったり風が吹くなど険しく、一筋縄でいかないこともたくさんあります。でも、それを経験することで、地に足をつけてミュージシャンという仕事ができる根性が養えるし、すべてがその人の栄養になると思うからです。だから、私は「自分のペースで経験して行こうね」と若い人たちに伝えています。

「バンド」は熟成に時間がかかる

『プリンセスプリンセス』もヒットが出るまで時間がかかりました。その渦中にいたときは、地獄!だと思ったり、辞めたいと思ったりしたこともあったけれど、それはバンドがサウンド的もメンタル的も固まる大切な時間だったと、今になって思えます。ポッと結成されてポッと売れたバンドはほとんどいません。それは、バンドは熟成するまでに時間がかかるからだと思っています。バンドをよく手にたとえるんですが、5本の指は長さも太さも機能も違うように、それぞれのメンバーがその役割を認識したらモノが掴めるようになる。全部が親指だったら、それはできない。こういう役割分担は集まってすぐにはできないんですよね

続けることは「経験値」をあげること

音楽を続けてく中で大切なことは、オリジナル曲を作り、ライブをやる、というバンドの「経験値」をあげること。大切なのは、お客様の前で演奏をすることです。スタジオの中では良い演奏ができても、バンドはライブで人を感動させないとビジネスにならないと思うんです。そしてレコード会社は、そのビジネスとして成功できる、一人でも多くの人を感動させられるバンドをいつも探しているんです。だから、その判断基準のひとつが、ライブに何人のファンが呼べるのか。たとえば、最初は10人のファンでも、次はCDを買いたい、またステージを見たいと思ってもらえるパフォーマンスをして、ファンを増やしていかなくてはならいから、どうしたらもっといいパフォーマンスができるのかを研究しながら、どんどんステージを経験して、経験値をあげていくことが大切だと思います。

数万人の観客と音楽を体感する感動を…

今は、女性バンドのプロデュースや、ベースを教える仕事もしています。プロデュースをしたいと思うのは、勢いがあるバンドやセンスがいいと感じるバンド。ライブを観たい、パフォーマンスを観たいと思わせるような、個性や観せ方という感性の部分が大切だと思います。やっぱり、バンドはライブですから。 『プリンセスプリンセス』は、武道館で毎年ライブをやっていました。1万人以上のファンがいても3階の一番後ろの列でも熱心に応援している姿がステージから見えるんです。そこで体感できる、音楽と1万人もの波動がひとつになったエネルギー!これがバンドとしての最高の感動でした。ミュージシャンを目指すみなさんにも、是非味わってほしいと思います。