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柔道整復師とは

開業もできる伝統の医療技術。
独特の「手術」でケガの治療や修復を行います

「柔道整復師」は、「ほねつぎ」「接骨師」「整骨師」とも呼ばれ、骨折や脱臼、捻挫、打撲といった骨・関節などの外傷に対して、手術や薬を用いない「手技」、つまり素手だけで治療や整復を行う医療専門職です。作業療法士や理学療法士と違って、医師の指示下ではなく独立して治療施設を開業できる「開業権」を持っていることが特徴で、自身の判断でこの施術を行うことができます(※1)。
もともとは柔術から生まれた治療技術であり、けがに対する応急手当てのスペシャリストとして接骨院や整骨院、病院の整形外科などで医療活動を行うほか、介護施設やリハビリテーション施設で運動機能の訓練にあたったり、近年では、スポーツチームや選手専属のスポーツトレーナーとして活躍する柔道整復師も目立ってきました。接骨院や整骨院での施術には保険が適用されるものもあり、病院よりも気軽に通えることから、身近にある治療院として利用する方が増えていますが、特に高齢化が進む現代では、関節痛や腰痛、捻挫などに悩む高齢者も多く、柔道整復師の需要は今後ますます高まっていくといえるでしょう。

※1:骨折や脱臼に関しては医師の診断、治療への同意が必要で、応急手当て以外は、医師の同意を得た上でのみ施術が可能となります

写真1

TOPICS!

なぜ「柔道」? — 柔道整復のルーツとは

柔道整復術は「柔術」から発展してきた治療技術といわれています。柔術には「殺法」と「活法」があり、殺法とは、敵をたおすための武技、つまり当身技、投技、絞技、関節技、固技などはすべてこの殺法に属します。対して活法とは、負傷者を助けるための治療法、手当てであり、骨折、脱臼、打撲、捻挫などの外傷を治す治療法や、出血、仮死者に対する蘇生法などもこれにあたります。その後、殺法は武術の一部として発展し、時代とともに、その技を競技や運動として楽しむスポーツの中に組み入れられるようになりました。一方、活法はけが人を回復させる技術として受け継がれ、東洋医学や西洋医学を組み入れて現在の「柔道整復術」として確立されました。
そのため、柔道整復術には「柔術(柔道)」の技や構え方から発達したものも多く含まれており、養成学校でも、柔道の精神を学ぶことを目的として柔道の授業が取り入れられています。