なりたい仕事のことを知る ナリカタ

  • ナリカタコラム
チケットがソールドアウトしたときの達成感
それがイベンターという仕事の魅力。

田熊 秀史さん

イベンター/プロモーター

  • インタビュー内容・勤務先等は取材当時の情報となります

楽しい仕事でないと続かないと考え、音楽の仕事を目指した

叔父が仕事でアイドルのバックバンドをやっていたこともあり、小さな頃からアイドル、HIPHOP、ロックなどいろいろな音楽を聴いていました。また、高校に入るまでずっとサッカーと陸上をやっていたので、スポーツ分野に進むか、音楽分野に進むか悩みました。自分が一番やりたい仕事を思い描いたとき、楽しい仕事でないと続けられないと考え、目指したのが音楽の仕事でした。音楽業界を目指すのであれば、東京へ、そして専門学校に進もうと決めていました。実は、高校を卒業してから2年間工場で働き、お金を貯めてから入学しました。根性はありましたね。高校時代の仲間が専門学校を卒業するときに、僕は入学だったので、2年間頑張って働いた分、負けられないなと思いました。専門学校選びでは、3校ほど見学しましたが、他のどの学校も眼中になかったです。TSMに決めたのは、東京にある音楽の専門学校をインターネットで検索したときに、一番最初に出て来たから。そして、聞いたことがある学校名だったから。音楽業界のいたるところと繋がっていて、学校に有名な人が来る学校に入りたかったんです。小さい学校ではなくて、ライバルが多い環境がよかった。決め手は、担任の先生との出会い。この人だと思って入学しました。最終的に、今の会社を紹介してくれたのも先生でした。

学生時代のミュージカルや現場での経験が仕事に繋がっている

東京では一人暮らし。奨学金をもらいながら学校に通いました。授業には真面目に出席しました。入学時には、スタッフになりたいと思っていたものの、具体的には決まっていなかったので、照明や音響、楽器など何でも勉強しました。今仕事をしてみると、ちょっとしたことで、これは学校で勉強したことだなと感じるときがあります。思い返してみると、すべてが学生たちで企画・運営するミュージカル「明日への扉」にありましたね。運営やチケット販売など、各分野に分かれてやっていたことを、今、一人でやっているなというのを感じます。会場の申請を出したり、お弁当をまとめたり…。「明日への扉」を経験したから、イベントやコンサートでは、そういう仕事があるということがわかりましたから。また、授業でいろいろな現場にも行かせてもらい、経験が積めました。就職もその現場がきっかけなんです。授業は他のイベンターさんの現場が多かったのですが、その日はソーゴ−東京の現場。たまたまその日来られるはずだった担当者が都合で来られず、代わりにいらした別の担当者が、担任の先生の知り合いだったんです。それでその方に紹介されて面接していただき、2年生の後半のインターシップを経て、入社しました。担任の先生からは、入学してすぐに「君には、ソーゴー東京がぴったりだ。君みたいな人がいっぱいいるぞ」と言われていたんです。でも、学生時代は、どの会社が何をやっているかも知らない。コンサートのチケットにある会社名として知っているくらいでした。一人ひとりを見てくれる先生に出会えたこと、そしてたまたま運が良かったんだと思います。実はこの仕事を目指したとき、将来一緒に仕事をしようと思った大好きなバンドがいました。そのバンドのライブを担当していたのがこの会社。すでに仕事でライブにも携わるができ、ひとつの夢が叶いました。

事前作業が仕事の90%、当日は臨機応変な対応が重要

仕事は、プロダクションや制作会社の方からイベントやコンサートをいつ、どこでやりたいという依頼があると、会場押さえから始まり、チケット販売のプランをたてて販売します。先行予約はいつからいつまでとか、宣伝材料をもらってチラシを制作したりもします。また、バイトやお弁当の発注などもろもろの手配をします。また、会場とつながっているのはここ(イベンター)だけなので、舞台監督さんからの資料を会場に送ったり、スタッフからの質問を会場側に確認したりといった準備をします。そして当日は、運営の全般、お客様や会場に関することは、全てを担当します。仕事内容は細かすぎて、うまく説明できないですね。会場押さえは1年前に行うものもありますし、仕事が依頼されてから当日まで半年ほどかかるものもあります。ひとつのイベントが終わる前から次のものがスタートしているので、ずっと続いている感じですね。ひとつのイベントの仕事では、事前作業が90%、当日が10%だと思います。 この仕事は事前作業でいかに詰められるか、そして当日にいかに臨機応変な対応ができるかが重要です。 イベンターはチケットが売り切れることがすべて。売り切ったときに達成感を感じます。初めて自分が担当したアーティストのチケットが「ソールドアウト」になったときには、「よし、追加公演だ!」と思いました。チケットを買えなかった人もいるわけなので。追加公演のときは会場押さえが大変ですが、それができるかできないかがイベンターの力の見せどころです。

会場と各セクションとの調整役、コミュニケーションが大切

舞台監督とやりとりをしたり、僕たちはいろいろなところと話をして決めていかなくてはなりません。コンサートもアリーナクラスになると、マニュアルを作るのですが、たとえばテントを何ハリはってなどいろいろなことをいろいろな人たちと話をして、情報をもらって作っていきます。仕事では、コミュニケーションが大事ですね。また、仕事をするうえで必要だと思うのは、いろいろなライブを見ること。どんなアーティストがいて、どんなライブをやっているのかを、自分の会社のアーティストだけではなくて、見ることが大事です。そして、それを自分の中で仕事にどう変換していくかですね。これからこの業界を目指す人に必要なのは、自動車の運転免許と根性。また、この業界は固いところはとても固いですが、やわらかいところも多いので、「こいつ、面白そうじゃん」という理由で採用してもらえることがあるので、個性も大切だと思います。元気で、挨拶や返事ができること。フットワークの良さも必要ですね。
僕の夢は着々と叶っていますが、まだ目の前の仕事で精一杯。これから新たな夢も探して行きたいと思います。自分が担当したアーティストが大きくなればいいかな。それが今の目標です。解散するバンドも多いので、長く続くバンドと一緒に仕事をしていきたいと思います。

田熊さんが活躍する会社

株式会社 ソーゴー東京

aiko、椎名林檎、ONE OK ROCK、スキマスイッチ、UVERworld、遊助、渡辺美里、2PM、DaizyStripper、山崎まさよしなど、多くの人気アーティストのコンサートを手掛けるイベンター。