引田寿徳さん
ギタリスト
学校卒業後に渡米。「DAVID LEE ROTH(VAN HALEN)」のソロ活動でのバンドメンバーとしてワールドツアー等に参加。また自身のバンド「The Hideous Sun Deons」で全米デビュー。俳優スティーブン・セガール氏のブルースバンドに参加するなど活動は多岐にわたる。
雑誌で見たモトリー・クルーやボンジョヴィに憧れて、初めてギターを買ったのが14歳のとき。ROCK MUSICとギターが大好きになり、憧れのミュージシャンがいる海外で自分も活躍してみたいと思っていました。独学ではなくちゃんと教育を受けたかったし、ライバルの多い場所に行きたいという気持ち、それから業界の繋がりもあるだろうと期待して、海外留学システムのあったOSMに入学しました。英語は全くできなかったけれど、アメリカ行きには不安はなかったですね。音楽で使う単語はどの国でも一緒。言葉が通じなくてもギターを弾けばわかり合えるって確信していましたから。
学校を卒業した後に再度渡米し、元ヴァン・ヘイレンのヴォーカル、デヴィッド・リー・ロスさんのバンドオーディションを受けるチャンスを得ました。そして、バンドメンバーとしてワールドツアーにも参加することに。デヴィッド・リー・ロスさんは、中学時代、部屋にポスターを貼っていたくらい一番憧れの人で、今でこそ慣れましたが、僕がまさか彼の家に行くなんて思ってもいませんでしたし、夢なのか現実なのか、不思議な感じでした。そして、一緒に仕事をして感じたのは、その実力と貫禄。永く第一線で活躍しているミュージシャンには理由があると実感しました。一緒に回ったワールドツアーでは、アメリカの規模の大きさを感じました。40万人の観客が普通ですし。また、ヨーロッパの国やブラジル、カナダなど、国によって盛り上がり方が違うのもおもしろいですよ。
プロのミュージシャンとして仕事を続けて行くためには、今のレベルをキープしつつ、常に上を目指して行かなくてはならない。若い人はどんどんレベルがあがって来ているから,それはスポーツ選手と同じです(笑)。それから、自分から仕事につなげていく努力が必要です。たくさんの人と知り合うチャンスがあるからこそ、積極的にコミュニケーションをとって活かしていかなくてはならない。そういうチャンスが目の前にあるのに、気づかない人も多い。常にそれを考えていかないならないと厳しい世界だと思います。でも、待っていてくれる何十万人ものお客さんの前で演奏できる幸せがある。どんなにツアーで疲れていても、ステージに立った瞬間、疲れなんか吹っ飛びますよ。
ソロアルバムを作ってみたいという思いや、自分の好きなギターを一生続けるという目標はありますが、今は練習してもっともっと上手くなりたいんです。僕が一番尊敬するギタリストのジェフ・ベックは、60歳になってもどんどんうまくなっているし、どんどん尖っています。僕も丸くならずに、彼のような存在になりたいと思っています。
ミュージシャンを目指す人には、どんなことでも逃げずにTRYしてほしいと思います。いい経験も悪い経験もどんどんすること、経験はお金では買えないし、その経験で10年後の自分が絶対違ってきますから。