なりたい仕事のことを知る ナリカタ

  • ナリカタコラム
「すごくイキイキしてる」とお客様が一目で分かる、 動物をいい健康状態に整えられる飼育系が目標です

小嶋 夏美さん動物飼育スタッフ(秋田市大森山動物園)

  • インタビュー内容・勤務先等は取材当時の情報となります

いろいろな動物が見てみたいと動物飼育の仕事へ

小学生の頃から動物関係の仕事がしたいと思っていました。小学校から高校までの間に、動物関係の仕事の中で動物看護士や乗馬クラブのお姉さんなど、コレもやりたいアレもやりたいと迷っていました。最終的にはいろいろな動物に関わる仕事をしたいと思い、飼育係になろうと決めたのが高校の初めでした。高校の先生には生物系の大学を薦められたのですが、即戦力になりたかったので、専門的に学べる専門学校に進学することを決めました。専門学校の授業で役立っているのは、輸入関係のCITES(サイテス)※1やレッドリスト※2について学んだことです。これらは動物園で飼育している動物に関わることなので、勉強しておいて良かったと思います。ただ、すべてを学べたわけではないので分からないことも多く、実際に仕事を始めてから専門学校の時の教科書引っ張りだして勉強することが多いです。学生の時は、何でこんなに難しいことを勉強しているんだろうと思っていましたが、仕事をしていく上で「これは必要だな、これも必要だな」というものが後々出てきます。仕事に就いて初めて勉強しておけば良かったと思うことはたくさんあります。動物園の飼育係を目指す人は、いろいろな施設、少し気になる施設があれば実習に行った方がいいと思います。分からないことや気になったことがあれば 、例えば「この動物はてよく◯◯食べるんですか?」というような些細なことでもいいので、どんどん質問してください。

  • 1 CITES(サイテス)=Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約=通称ワシントン条約)の略称
  • 2 レッドリスト=絶滅するおそれのある野生生物の種の一覧

個体の顔の状態や表情の違いまで見ることが飼育のやりがい

卒業後は埼玉にある動物園で、主にふれあい動物広場を担当していました。そして、今年の4月からこの動物園で働いています。 以前働いていた動物園のふれあい動物広場は、ヤギや羊、モルモットなどの家畜系の動物が多かったので、違う動物も見てみたいと思っていたときに、こちらの求人があり応募しました。入社してまだ4カ月なので、教わることばかりという感じです。何かやるにしても初めてのことなので、いろいろな人に聞いたり、アドバイスをもらったり、毎日が勉強という感じで頑張っています。今、担当している動物は、ヤマアラシとカンガルーです。カンガルーは人に懐かない動物なんですが、私が担当になってからタイミング良くヤマアラシの赤ちゃんが生まれて、お母さんが高齢の個体でミルクの出が悪く、私たちが人工保育をして哺乳瓶でミルクをやりつつ、お母さんの母乳も飲ませて育ててきたので、だいぶ人に慣れて触れられるようになりました。私がここに来て初めて生まれたということもあり、このヤマアラシの赤ちゃんには思い入れがあります。 この動物園では、動物のガイドやエサやり体験をやっています。「楽しかった」とか「こんな発見があって面白かった」と、お客さんの意見を直接聞けることが仕事をしていて嬉しいところです。やりがいは、日々の観察。体の中でもどこが病気になりやすいとか、どこがケガをしやすいというのが動物によって違うので、それを注意しながら飼育することが、やりがいを感じるところだと思います。最近は個体の顔の状態や表情の違いというのも注意しながら見るようにはなりました。お客様のなかには動物園に来ても、動物をぱっと見てすぐに帰ってしまう人も結構多いと思うんです。でも、ぱっと見ただけでも「この動物はすごく毛並みがいいな」とか、「すごくイキイキしてるな」というのが分かるくらい、動物をいい健康状態に整えてあげられる飼育係になることが目標です。