奥山 豪太さん美容師/美容室オーナー(札幌市北区「SOLO(ソロ)」経営)
高校生のとき、もともとサラリーマンは向いていないと思っていたし、自分の腕や技術でやっている仕事がしたい、とにかく自分の店を持ちたいと思っていました。美容師のほかにも仕事の選択肢はいくつかありましたが、ファッションや美容への興味があったこと、そして理容店を営んでいる叔父の存在がありました。子供の頃から叔父に髪を切ってもらっていた経験を通じて、反対に僕がお客さんの髪を切る立場になりたいと思うようになっていました。そのことを叔父に相談すると「やるんだったら理容ではなく、美容の世界に」とアドバイスをしてくれました。その言葉でそれまで模索していた将来が明確になりました。そのために進んだのが、当時開校したばかりだった札幌ベルエポック美容専門学校です。高校の推薦が受けられたことから入学を決めました。
学校での授業は美容理論や実習など2年間みっちりの内容。ほかの美容学校は国家試験対策に最も力を入れていますが、ベルエポックはそれに加えて、具体的なサロンワークやカットなど、より実践的なところがよかったです。さらに、美容の技術を覚え、高めていきたいという思いが強く、学校の授業が終わると、札幌市内にある個人経営の美容院に手伝いとして毎日通いました。学校とは違った美容の現場を肌で感じながら、技術をどんどん吸収していきました。それで卒業するころには、あるレベルまでの仕事をオーナーから任されるまでになりました。卒業後は、そのまま就職。在学中の手伝いである程度仕事を覚えていましたので、1年かからずにデビューすることができました。手伝いの期間も入れた5年間のサロンの仕事は、毎日深夜まで本当にしんどかったですが、仕事を通じて技術だけではなく、固定費や変動費といった将来必要になる経営数字についても学ぶことができました。
その後、専門学校時代の講師が独立してサロンをオープンし、その新しい店舗で経験を重ねながら技術を磨くと同時に、新規オープンに必要な開業コストの計算などを学ぶことができました。そしてさらに1年後、開業資金の調達で政府系金融機関との折衝など多くの課題をクリアし、24歳で自分のサロンをオープンすることができました。すべて自己責任。若くして独立しているから、絶対につぶせないという思いがあります。当初の見込み以上の忙しさが続いて、休みもままなりませんでしたが、雇われて働いているより100倍くらいの充実感があります。開業して数年たちますが、いまでも学生時代に放課後かよっていたサロンのお客様が来てくださいます。そんな人とのつながりが仕事の喜びです。今後は、美容だけにこだわらず、会社を設立して、その一部門としてサロンを持つほか、飲食業など全く別の業態にも広げていきたいと思っています。