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仕事を知る

自動車モデラーとは

豊かな造形力を駆使して
デザイナーのアイデアを立体化する専門職

スタイリッシュなスポーツカーやミニバン、ステーションワゴンなど、街にはたくさんの自動車が走っています。カッコイイデザインの自動車やバイクに憧れたことがある人も多いでしょう。コンパクトカーや軽自動車は女性にも人気です。これらの自動車の開発に携わり、デザイナーがスケッチしたアイデアを立体化するのが自動車モデラーの仕事です。
デザイナーが描いたデザインがどこまでコンセプトに沿ったものか、デザインに機能性もともなっているか…スケッチだけでは見えてこないことも、立体化することでさまざまなことが分かってきます。設計に必要な微調整を繰り返し、細部を立体化し、実際の製品としての自動車と同様、もしくはそれ以上の精度のモデルを作り上げるモデラーの仕事は、まさに職人技と言えるでしょう。
どの自動車メーカーも開発やデザインに力を入れているなかで、自動車モデラーは知識と技術を駆使して自動車開発を支え、日本の自動車産業に貢献する職業です。

SPECIAL INTERVIEW

自動車モデラーの魅力

元三菱自動車工業株式会社モデラー
安藤 裕敬さん

プロフィール

三菱自動車工業株式会社デザイン部でモデラーとして20年勤務し、パジェロ・ランサーエボリューションⅣなどの制作に携わる。後に、三菱ふそうトラック・バス株式会社デザイン部で5年勤務し、キャンター・エアロクイーンなどの開発に携わる。

「クレイを盛って削る」をひたすら繰り返して完成した自動車が走る姿を見ると感動します

高校生のときに街で見た自動車のポスターに衝撃を受けました。三菱自動車のギャランGTOという自動車だったのですが、それを見て「自動車会社に入って自動車をつくる仕事がしたい」と思いました。そのころはまだ自動車モデラーという仕事があることさえ知らなかったのですが、縁があって三菱自動車に入社してモデラーになることができたので、これは自分の運命と思うことにしました。
自動車モデラーの仕事は、デザイナーが描いたスケッチからその思いを感じ取って立体にする仕事だと思います。スケッチを見て立体に置き換えるためには、普段からいろいろな立体物に触れて、自分の手と目で面の流れや構成を感じることができ、道具を自分の体の一部として扱えなければなりません。必要であれば自分で道具を制作することもあります。
また、技術を高めるだけではなく、相手の意見を聞くこと、自分の意見を正確に伝えることも大切なので、コミュニケーション力も高めたほうが良いと思います。もちろん、職人の世界ですから経験がものを言います。一人前のモデラーになるのに早い人では5年。人によっては10年の時間が必要になりますね。
クレイを盛って削る、また盛って削る、を繰り返して製品になった自動車が走る姿を見ると、この仕事を選んで良かったと楽しい気持ちになれます。また、これからは自動車業界をはじめあらゆる分野でエコが求められます。ハイブリッドカーや電気自動車といった新しいジャンルの自動車を、これからの世代のデザイナーと一緒にみなさんの手でつくり上げてください。