なりたい仕事のことを知る ナリカタ

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先輩を知る

私はこの仕事でないと何もできないから、
楽しみながら腕を磨きたいと思います

長谷川 祐香さんヘアメイクアーティスト

  • インタビュー内容・勤務先等は取材当時の情報となります

美容師のいとこの影響でヘアメイクアーティストに興味を持った

ヘアメイクアーティストに興味を持ったのは、幼い頃。10歳以上年上のいとこがやっていた美容院に遊びにいくうちに、あこがれるようになりました。友達の髪をセットするのが好きで、高校の文化祭では出し物に合わせて、みんなの髪をセットしました。そんな興味が、高校生になって本気で進路を考えるときに、美容を仕事にしたいという気持ちに変わりました。高校2年生の終わり頃、初めてメイクを学べる学校があると知ったくらいのぼんやりした目標でしたが、一度決めると意思は固いので、高校在学中からベルエポック美容専門学校へ通い始めました。欧米ではヘアメークとメーキャップの役割分担がしっかりしていますが、日本ではどちらもこなせる人材が重宝されます。そのため、ヘアメイクアーティストコースに入学しましたが、ダブルスクールの制度を利用して、美容師免許を3年かけて取得しました。当時、利用者は少数でしたが、ブライダル関連の仕事などでは免許が必要でしたから、活用することにしました。美容師免許をとるために、卒業後にもう1度学び直すという時間のロスがなくなったので、当時ダブルスクール制度があって助かりました。

海外への夢を持って独立するも、ビジョンを持つため日本で腕を磨くことに。

ヘアメイクアーティストコースを卒業後、アシスタントとして事務所に所属しましたが、その年の夏に美容師免許を取得したのをきっかけに、わずか半年で独立することにしました。その決意をしたのは「海外で自分を試したい」という思いからでした。専門学校の卒業前に、ハリウッドでメーキャップアーティストとして活躍するカオリ・ナラ・ターナーさんと話をする機会があり、「アシスタントとしてアメリカに来たら?」というオファーをいただいていたのです。しかし、海外への準備を整えようとしていたときに思い出したのが、カオリさんからの「海外に出たとして、それからあなたは何がしたいの?」という問いかけでした。アメリカで活動するためには現地の免許も必要で、もう1度学び直すことになります。「ただ『海外に行きたい』という思いだけではダメだ。自分が何になりたいか、しっかりしたビジョンを持たないと」と考え直しました。そして、アシスタント時代にお世話になったお客様やその紹介などの仕事をしながら、日本で腕を磨くことにしました。そこから先は、人の縁に支えられて仕事を続けて来られました。

好きな仕事は楽しいし、やりがいもある。苦労は楽しく受け止めないと損。

フリーランスは、厳しく指導してくれる人がいませんから、自分でテクニックを磨いたり、美的センスも見失わないように常に心がける必要があります。色彩感覚やそのバランスを養うために、美術展や映画館にはマメに足を運んでいます。絵画は作者などの偏見を持たず、パッと見て印象や構図を学びます。また、映画はその時代と衣裳をよく見ます。その中でも『オペラ座の怪人』や『シカゴ』は勉強になりました。ただ、ストーリーよりもヘアスタイルやファッションに気持ちが行きがちなのでちょっと困りますが。仕事で一番大切にしているのが、モデルさんが喜んでくれるスタイルにすること。本当はクライアントの意向に沿ってアレンジした方が、次の仕事につながるのですが、モデルが「これ」と思ってくれたときの方が良い作品になるんです。モデルさんも人間ですから、テンションで表情の善し悪しが出ます。そのため、メイク中の会話も大事です。おしゃべりをしながら、モデルさんをその気にさせることも私の仕事。本番に向けて気持ちを高めることが作品の質を高めます。今、海外への夢はまだ捨てていませんが、日本で自分が必要とされていることに充実感を覚えます。だから、自分が納得できる仕事なら、何でもやろうという気持ちが芽生えました。報酬よりも私の意見が反映され、いい仕事になるならば進んで引き受けています。好きなことは楽しいし、やりがいもあります。それだけに苦労は楽しく受け止めないと損。私はこの仕事でないと何もできないから、楽しみながら腕を磨き続けたいと思います。