歌唱力はもちろん求められるのはパーソナリティー
ソロヴォーカリストとして活躍するためには、ずば抜けた歌唱力と強い個性が必要です。シンガーソングライターやバンドミュージシャンは作詞や作曲、楽器などで個性を発揮できますが、ソロヴォーカリストは歌声とルックス、その人自身が持つキャラクターで評価されます。ただ単に歌がうまいだけでは注目されません。年齢が若いということもソロヴォーカリストの武器になります。作詞、作曲家から渡された歌をいかに自分のものとして噛み砕き、感情を込めて歌い上げるか、表現力と人間性が重要です。
「ソロヴォーカリストに求められるもの」
細川 和子(ほそかわ わこ)さん
プロフィール
音楽大学を卒業後、クラブシンガーを経て、元オフコースメンバーABC、チャゲ&飛鳥のレギュラーミュージシャンらと共演。現在はテレビ局のアナウンサーや、新人アイドルなどの専属のボイストレーナーでもある
現在、インストラクターとして新人アイドルやアナウンサーなどのボイストレーニングをしています。歌手を目指す皆さんにいつもお伝えしているのは「抽象度」を上げてくださいということ。「おいしい」という感情ひとつでも人それぞれ表現の仕方が違うんですね。みずみずしいとか、香り高いとか、コクがあるとか。自分の感性を磨くということです。これは、短い歌詞の中に「自分」なりの感性でいかに表現するかが養われます。歌を自分のものにするためにすごく役立つと思いますよ!
歌はそれこそ誰でも歌おうと思えば歌えるものですが、歌唱力だけでは足りません。歌声ってその人そのものを表現してしまうものだから、人を引きつける声——「声の個性」というものが必要なんですね。それには、自分の内面を深く掘り下げること。いつでも自分に向き合って、自分は何したいんだろう? 何を感じているんだろう?と考え、しっかりとした世界観を持つこと。毎日答えが変わったっていいんです。重要なことは自分を見つめ、人に語ることができるようになることなんです。実はこれ、オーディションで合格するためにも必要なんですよ。常に自分と向き合っていれば、どんな質問だってすぐに答えられるようになります。技術面では、人のマネをしてみるということ。様々な声質や音程の声を出すことで声帯が鍛えら、柔軟性が出ます。あとは自分の歌った歌や他の人の歌をじっくりと聴いてみること。自分の歌を客観的にみることで、自分のいい部分と悪い部分が理解できるので、上達が早くなります。一番大切なのは、どうしたらいつも輝いていられるかを考えるセルフプロディース力といえますね。
また、音楽業界は横のつながりが強いので、人脈によって仕事の幅や量も変わります。ソロヴォーカリストとして活躍し続けるためには、世渡り上手でいること。ボーカリストとして長く活躍し続けるためには、歌を歌うだけではなく作詞作曲を手がけたり、女優やタレント活動など自分の視野や活動の場をどんどん広げていくこと大切だと思いますよ。みなさんも夢に向かってがんばってくださいね。