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視能訓練士とは

目が語る小さな“ メッセージ”を見逃さない目の検査と矯正を行うプロフェッショナル

視能訓練士は「ORT(Orthoptist)」ともよばれ、視力、視野、眼圧といった視機能の検査や、斜視、弱視などの治療、矯正訓練を行う眼科領域の医療専門職です。
視能訓練士は、眼科のある病院や眼科専門の診療所で働くことがほとんどなので、眼科にかかったことのある方でなければ、なかなか目にすることは少ない職業かもしれません。目の病気、または眼鏡やコンタクトレンズが必要で眼科に行ったことのある人は、そこで視力検査をしてくれた白衣のスタッフが、おそらく視能訓練士です。あるいは、学校や会社、地域の保健センターなどで行われる眼科検診、視力検査の際に、視能訓練士の姿を目にしているかもしれません。

目の障害として一般的に知られている「斜視」や「弱視」は、乳幼児〜7、8歳前後の間に発症、または発覚することが多い病気ですが、この段階で正しい治療を行えば、手術をせずに矯正訓練で改善できる可能性が高い病気です。逆に、この期間に発見されず治療が遅れると、改善ができなくなったり、最悪の場合は失明することもあります。
こういった障害の早期発見、早期治療のためにも欠かせない目のエキスパートが「視能訓練士」なのです。 また、高齢化が進む現代、老化や糖尿病などで視力が低下したり、白内障や緑内障を患う方も増えており、こういった患者さんに対する検査やリハビリテーション指導も、これから視能訓練士に求められる大きな役割だといえます。

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目は口ほどにモノを言う。目が知らせる、小さくて重要な病気のサイン

視能訓練士は、視力、視野、色覚、光角、眼圧、眼位、眼球運動など、様々な種類の検査を行い、異常がないかを調べます。「目」の機能を調べるだけ、と思われがちですが、実は目というのは、身体の内部の様々な症状が現れやすい器官でもあるのです。視力の低下や目のかすみというちょっとした異常でも、それが糖尿病や脳の障害によって起きている合併症である場合など、見逃しがちな小さな異常が、実は重要な病気のサインになっていることもあります。実際に、眼科検査をきっかけに、がん細胞があることや脳機能に障害があることが発覚する、といったケースもよくあることです。視能訓練士は、検査を通して、目の奥に隠れている身体の異常や疾患を発見するという大きな役割も果たしているのです。そのため、実際の医療現場では、内科医や外科医が視能訓練士とチームを組んで治療を行う、というケースもよくあります。目の疾患であっても、それが身体内部の問題に起因している場合は、内科、外科の疾患を治療しなければ目の治療も進まないからです。視能訓練士は、目の専門家であるとともに、チーム医療の一端を担う医療技術者の一人でもあるのです。