なりたい仕事のことを知る ナリカタ

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牛のワクチンの製造を担当、結果の積み重ねに楽しさを感じながら仕事をしています

船場 智菜美さん医薬品開発技術者(共立製薬株式会社 先端技術開発センター 勤務)

  • インタビュー内容・勤務先等は取材当時の情報となります

幼い頃から動物が好きだったことがスタート

もともと動物が好きだったので、幼い頃からずっと動物の医薬品やフードなどの仕事に携わりたいと思っていました。動物の飼育の方にも興味はありましたが、遺伝子の話が話題になり始めた頃に面白そうだと興味を持ち始めて、その頃から医薬品とかの方に進めたらと思っていました。実は、高校推薦で大学に進学するつもりでいましたがその指定校推薦がなくなってしまい、どうしようかと考えて専門学校に進学することにしました。理系の専門学校の資料を取り寄せたなかで、東京医薬専門学校が実習が多いこと、またこの学校ならば技術的なことが身に付くかなと思ったのが一番でした。また、家から通いやすいことも決め手でした。

アメリカの研究施設を見た海外研修が印象的だった

学生時代で一番印象に残っているのは、海外研修です。サンフランシスコに行って、アメリカのバイオ関係の企業、その研究施設とかを見せてもらったんです。やっぱり進んだ機材などを見られたことが印象に残っていますね。最新の機械と、そして施設の広さ。こういうところで働いてみたいという気持ちとになりました。また、授業では3年生のときの卒業研究です。4人のグループで、自分たちで実験計画を組み立てて進めていくというところは、すごくおもしろいと思いながらやっていました。研究は、ガン細胞について。肥満になった時にガンが普通の人よりどう進行するかということを調べていて、細胞を扱ったりもしました。

学生時代とはスケールの違う、製造規模の大きさに驚いた

就職の経緯は、学校にこの会社から求人をいただいて、そこから担任の先生や卒業研究の担当の先生などからいろいろなお話を聞きました。動物薬品はずっと目指していたものであったことと、細胞など自分が学んできたところもあったので、就職したいと思いました。就職試験は、個人の能力検査、それから適性の検査、そのあとは面接がありました。自信はなかったです。何がよかったのでしょうか? 素直に答えたところでしょうか。 現在の仕事は、牛の5種混合の不活化ワクチンの製造をしています。不活化ワクチン、ウイルスなんですが、そのウイルスの原液製造をメインでやっています。主に細胞の培養です。学生時代には、シャーレなどの小規模でしか細胞の培養はやらないのですが、製造となるともっと大きい規模でやります。何百リットルですね。だから、学生のイメージとは全然違います。また、学生の時はその1回だけで終わってしまう実験だったり、例えば失敗しても次があるかもしれないとか、そういう気持ちでやっていたんですけど、今はもっと大きいですし、失敗できるものでもなく、毎回同じ安定した技術を持ってないとできないもの。でも、前回できたものが今回もできた、と積み重なって行くことが、今はすごく楽しいと思いながら仕事をしています。今は、作っているワクチンを、更に規模を上げて作っていくために、スケールを上げる試験をこれから始めるんですが、その予備試験の方を担当させていただき、少しずつ始めています。

「毎回同じようにやる」ことの難しいさを実感

仕事では、毎回同じようにやるということが、本当にすごく難しいことだと実感しています。そのために、一日にあったことや、その日上手くいかなかったこととかをどれだけ反省できるかと、ちゃんと見直して、次に生かせるかというところが大切だと思っています。作業に入る前には、今日は何をするのか、イメージトレーニングみたいなことをちゃんとしていかないと、安定してできませんね。また、研究所の中にいると買ってくださる方の顔は見えないんですけれども、それでも意識しながらやるようにはしています。今は牛ワクチンという一つのものをやっているんですけど、将来はもっといろんな製剤を見ていけるようになれたらいいなと思っています。

高校生、この業界を目指す人へ

この医薬品の製造に関わる人に一番必要なものは、冷静さでしょうか。焦るとミスが起きたりするので、その前にちゃんと準備をしておくことや、失敗したことをどうやって次に生かすという意識、心の準備をしっかりとして取り組んでほしいと思います。

船場さんの職場

共立製薬株式会社 先端技術開発センター
共立製薬株式会社は、1955年に設立されたペット及び家畜の医薬品を扱う医薬品企業。「先端技術開発センター」には、基礎から応用まで幅広い開発を行う「開発本部」の主力とワクチンを主力製品とする「生産本部つくば工場」があり、専門スタッフによる研究・開発・生産体制が整い、遺伝子組換え技術やバイオ工学技術による製品開発への取り組みは国内外から高い評価を得ています。