新薬開発に必要な研究、実験を行う研究技術職。10年以上の年月をかけて一つの薬を生み出します
新しいくすり「新薬」が開発されるまでには、物質の選定から承認審査で認可されるまでいくつものフェーズがあり、それぞれのフェーズで専門の研究者が活躍しています。 医薬品開発技術者は、その中でも「基礎研究」や「非臨床試験」を主に担当する研究技術職。 植物や動物、微生物、化学物質などからくすりの"もと"と成り得る物質、成分を発見したり、それを組み合わせて新たにつくりだす「基礎研究」、動物や培養細胞を用いて物質の安全性や効用を調べる「非臨床試験」など、新薬開発の初期段階において様々な研究、実験を行います。
新薬の開発には、9〜17年もの年月と、300億円以上もの開発費用がかかると言われています。さらに、その成功率はわずか20,000分の1。そんな難しい確率だからこそ、開発が成功した時、実際に商品として世の中に出た時の喜びはひとしお。また、一つひとつの実験がくすりの安全、そして人の命を守ることにつながる、大きなやりがいのある仕事だといえます。 医学や技術の進歩により、様々な医薬品が開発されていますが、高齢化社会である現代では、より効果が高く、副作用が少ない新薬の開発が求められており、医薬品開発技術者の活躍は、今後ますます期待されていくことが予想されます。
近年の製薬業界では、人間のタンパク質や遺伝子組み換えなどを生かしてつくる「バイオ医薬品」の開発がさかんで、糖尿病治療薬として開発された「ヒトインスリン」を皮切りに、世界中の製薬会社がバイオ医薬品の開発に力を入れています。従来の医薬品は、化学物質の組み合わせによってつくられるものがほとんどでしたが、化学物質の組み合わせではすでに新薬が生まれにくくなっていること、さらに、副作用が少なく、がんやリウマチなどの治療を得意とすることも、バイオ医薬品が注目を集める理由の一つです。バイオ医薬品の開発では、遺伝子工学や細胞工学など、従来の医薬品開発よりもさらに高度で幅広い技術が必要になりますが、高齢化が進むこれからの日本では、こうした特性をもつバイオ医薬品の需要が高まることは必至とされ、医薬品開発技術者のさらなる活躍と成長が期待されています。