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調剤薬局事務の仕事

患者さまの応対からレセプト、薬剤師の補助まで、事務部門のエキスパートとして調剤薬局を支えます

薬局経営と薬剤師を支える事務部門の専門職

一般的な調剤薬局では、業務の内容によって、薬剤部門と事務部門の2つにきちんと分けられている所がほとんどです。その中で、事務部門の専門スタッフとして様々な事務業務を担当するのが「調剤薬局事務」の仕事。患者さまの応対をはじめ、会計業務、処方せんの入力、そして薬剤師の補助業務まで、調剤以外のあらゆる事務業務に携わります。調剤ができるのは薬剤師のみであるため、事務スタッフが調剤業務を行うことはありませんが、薬の整理整頓や調剤補助(※1)など、薬剤師のアシスタント的な役割を果たすこともあります。

※1 薬剤師・医師の指示のもとに行う補助業務です

調剤薬局事務の主な業務内容

調剤薬局事務の仕事の領域は実に広く、たくさんの業務を担当します。厳密には、その範囲や内容は就職先によって異なりますが、代表的な業務内容としては次のようなものがあげられます。

患者さまの受付・接客

処方せんを持って来局される患者さまの応対業務。患者さまが初めての来局か再来かを確認したり、処方せんの有効期限なども確認します。 初めての患者さまの場合は、アンケートなどで氏名や住所、服用歴、病歴といった基礎データを収集し、顧客データを作成。再来の患者さまの場合は、過去のデータを確認し、保険証の内容に変更がないかどうかをチェックします。

処方せんの入力・データ管理

患者さまが持参された処方せんの内容を確認し、薬剤師へ渡すと、薬剤部門で処方薬の調剤が行われます。薬剤師によって調剤が完了すると、処方せんをもとに、調剤薬局が行った処方内容をコンピューターに入力し、「調剤録」として保存します。現在、処方せんについては、院内処方せんは2年間、調剤薬局の場合は3年間保管することが義務付けられており、調剤録についても、処方せんと共に3年間は保管をしなければなりません。そして、調剤録の作成や管理はコンピュータで行うことが一般的であるため、調剤薬局事務ではコンピュータの操作スキルも必要となります。

薬歴簿の作成

調剤薬局では膨大な種類の薬を取り扱っており、その組み合わせによっては、副作用が発生する可能性も出てきます。これを防ぐために薬局で作成されるのが「薬歴簿」です。ここには、処方した薬の種類や処方の時期など細かい情報をデータとして保存していきます。新しく薬を処方する際、この薬歴簿を確認することで、危険な組合わせを回避することにもつながるのです。この「薬歴簿」を作成、管理するのも調剤薬局事務の仕事の一つであり、処方せんに基づいて処方内容を記入していきます。実際の現場では、薬剤師が患者さまに服薬について指導をしている時に、調剤薬局事務が同時進行で薬歴簿を作成するといったケースが多いようです。

会計

患者さまと接する最後の業務が会計業務。処方内容に従って調剤報酬を算定し、患者さまへ自己負担額の請求を行います。通常、患者さまは国民健康保険など保険組合に加入されていますので、患者さまが負担する薬代は一部となり、残りの代金については、患者さまが加入している保険組合などへ請求します。このため調剤薬局事務では、医療保険に関する知識も必要になるのです。

レセプト処理

日本では現在、ほとんどの人が国民健康保険などの保険組合に加入しているので、患者さまが負担する診療費や薬代は一部負担となり、残りの料金は、保険者である国民健康保険や保険組合に請求します。 このように、調剤費や薬代などを保険者に請求することを「レセプト業務(調剤報酬請求業務)」、その請求のために保険者に提出する書類が「レセプト(調剤報酬明細書)」と呼ばれるもので、調剤薬局事務の仕事において最も専門性が求められる業務だと言えます。

実際の業務では、記載した調剤録をもとに、厚生労働省が定めている調剤報酬点数表に沿って点数を算出し、レセプトを作成します。レセプトの提出は月1回。月が終わるとその月分の調剤録をもとに集計し、作成後、国保連合会や支払い基金に提出します。もしこの内容にミスや漏れがあると、レセプトは返送され、再提出しなければなりませんので、レセプト業務では、何より正確性が求められます。間違いや漏れがないよう、一つひとつの処理を確実に、かつ迅速に行う能力が求められます。

その他の業務

この他、電話応対や局内の清掃、納品書や請求書など書類の整理、そして薬の整理整頓をはじめとする薬剤師の補助業務といった業務もあります。勤務先の規模やスタッフの数によっても業務の領域は変わってきますが、広い専門知識や細やかな気遣いが必要とされる仕事であるため、現場経験を重ねキャリアを積むとともに、任せられる業務や責任も大きくなり、さらなるやりがいも感じることができるでしょう。