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仕事を知る

パティシエとは

技術とアイデアでおいしい洋菓子を作り出す職人

「パティシエ」とは、フランス語では「お菓子屋さん(菓子を作る人、売る人)」という意味。日本で「パティシエ」は、さまざまな洋菓子を専門に作る「洋菓子職人」として一般的に知られるようになり、人気の職種となっています。
基本素材は、小麦粉、卵、砂糖、バターの4つ。これらの量やタイミング、火の使い方でスポンジケーキ、パイ、タルト、クッキーなど、違ったお菓子を作り出しているパティシエにとって、原材料や配合の正確な知識はとても重要。基本や伝統を大切にする仕事でありながら、新しいアイデアのオリジナル菓子など、その技術と発想で、毎日美味しい洋菓子を作っているのがパティシエです。

ショコラティエ

チョコレート専門の職人。ひと粒ずつ手作りできる技術はもちろん、素材となるカカオ選びの目も持ちます。温度や湿度などの環境に合わせ、チョコレートの風味を活かせる繊細な技術を持っています。パティシエとショコラティエが分業している職場もありますし、最近はショコラティエが活躍するチョコレート専門店も人気です。

バンドゥーズ

ケーキショップや洋菓子店の販売員がバンドゥーズ。店頭での接客やラッピングが主な仕事です。笑顔などの好感度の高い接客マナー、商品を扱う丁寧さはもちろん、洋菓子に関する広い知識も持っています。

SPECIAL MESSAGE

失敗したホットケーキが悔しくて…、モノを作ることを目指した

「おいしい」を模索し続ける、それもパティシェの喜び

パティシェ 沖 忠浩さん

プロフィール

株式会社 ロイヤルホテル
ホテルフードMD事業部 製菓課課長代理、リーガロイヤルホテルシェフパティシエ。
製菓歴24年、国内外の受賞歴多数。中でも、2004年に日本リージョナルチームとして出場した世界料理オリンピックでは、総合部門で銀メダル、ペストリー部門で金賞受賞。2005年に発表したホテル直営グルメブティック「メリッサ」のオリジナル商品「Maboroshi"幻"」は、ワールドチョコレートマスターズ 2005 国内予選準優勝と、チョコレート・クリエイティビティ賞(創造力賞)をダブル受賞。発表当時は「世界初のチョコレート」とも評され、今も絶大な人気を誇っている。

料理の世界を目指そうと思ったきっかけは、いくつかありました。小学校1年生のとき、母が作ってくれたホットケーキが美味しかった。で、ある日、母がいないときに「よし、作ってやろう」と思いたち、小学生だから市販のミックス粉の説明の絵だけを見ながら、適当に水を入れて適当にかき混ぜて…。そうやって出来上がったホットケーキは、シャバシャバだし、焦げているし。でも、これがどうにも悔しくて「ちゃんと作りたい」という気持ちが湧きあがってきて、「モノを作ること」を自分の軸にしようと思ったんです。そして次が、小学校3年のころ、洋食屋さんに行った時のこと。厨房の奥に見えた「高い帽子のコックさん」がとてもカッコよかったんです。それで「よし、この世界に入ろう」と決めました。

晴れの舞台や心温まる場面に出会える仕事

高校卒業すぐの就職だと飲食関係の就職先は限られてしまうので、選択肢を広げるために専門学校へ進みました。ロイヤルホテルに就職した当時、大阪はホテルの建設ラッシュ時代。ホテルもさまざまなジャンルの人を育てたかったからか、フランス料理専攻の僕は、洋菓子担当として採用されました。それから24年。なんとかこの世界でやっていけるようになったと思っています。仕事をしていて面白いと感じるのは、ホテルの仕事をしているからか、通常の会社員では出会えることのない企業のトップや芸能人をはじめ、多くの著名人の方にケーキを作り、晴れの舞台に巡り会えること。以前、その方が亡くなられた後の法要で親族の方から「故人が好きだったケーキをお願いします」と声をかけていただいたことがあり、そういう心温まる場面に出会えることは、仕事のひとつの励みになっています。

おいしいものをつくる作業には、答えもゴールもない

作ったものがお客様に喜ばれたら、それはそのケーキにとってはひとつのゴールではあるけれど、自分のゴールではない。他の誰かに喜ばれる、新しい何かを作るための努力は惜しみたくないと、いつも自分を戒めています。おいしいものを作るその作業には答えもないし、ゴールもないんです。「おいしい」は食材によって変わるし、配合によっても、加工の仕方によっても変わる。そもそも、人によって感じ方も違うわけだから、それを研究・模索し続ける。それもパティシエの喜びのひとつです。
これからパティシエを目指す人に求めるのは、アンテナを広げること。絵であれ、写真であれ、音楽であれ、食べることに関しても、お菓子だけではなく、洋食であれ、和食であれ、中華であれ、興味を持つ。アンテナを広げていれば何かしら引っかかってくるから。例えば、商品を考える場合に、名前から考えることだってある。今年売り出している新商品は「ふるふるプチパンケーキ」。これはパンケーキを一口サイズの太鼓状にして、それに粉末のメープルシュガーをふりかけて食べる。どこかのファストフード店にあったような気がするでしょ。遊びゴコロ、かな。そんな言葉ひとつもヒントになるんです。