なりたい仕事のことを知る ナリカタ

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「処分しようと思った犬の命を助けてもらいました」この言葉が本当に嬉しかった

樽川 雄太さんドッグトレーナー/ドッグスクール代表
ボンドドッグスクール(トレーニング、ペットホテル、イベント等)

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訓練所で1年働いた後に独立、ドッグスクールを開業

学校を卒業した後、静岡の訓練所に入りました。1年を少し過ぎた頃、所長から「お前はもう大丈夫だから、実家に帰っても仕事できる」と言われて、福島に帰り、ドッグスクールを開きました。1年しか働いていないのに大丈夫かな、と自分でも思いながら、独立して5年になりました。関東には仲間が多いのですが、こちらには知り合いもいない。年も若いし、不安もありましたが「競技会で上位に入ったら認めてもらえるだろう」と頑張りました。腕が全てですから。競技会では、必ず結果を残すようにしています。そして、これまでに1万頭以上のしつけや訓練をしています。NPO日本ペット里親協会のしつけの監修もしているので、北関東.東北地区のイベントでしつけ教室を行っていて、1回平均300人を教えています。出張訓練もありますから、1年で1500頭をトレーニングしています。福島には、トレーニングを長く続けてくれる飼い主さんが多くて、それがうれしいですね。出張訓練では、飼い主さんの身近な存在でいられるので、それが仕事につながっていると思います。

学校ではトレーニングの楽しさを教えてもらった

昔から犬を5頭ほど飼っていましたが、寄り道もしました。専門学校に入学を考えたときは、乗馬を希望していたんですが、入学するときにドッグトレーナーに変更。それでも1年の頃はペットショップに行こうかと考えていたんです。2年になって、いろいろな先生たちにトレーニングを学んで刺激を受け、自分でシェパードのトレーニングを始めてから、どんどん魅力にはまりました。訓練といっても、最初は何がなんだかわからない。どのタイミングでどう対処したらかいいか。でも、学生の時はそんなことを考えなくてもいいと思うんです。僕が教えてもらったのは、楽しさでした。楽しんでトレーニングする。ずっと仕事をしていく上では、好きな動物と仕事ができる楽しさ、物事を教える喜び、そういうものが一番だと思います。

目指すは世界1、常に向上心と柔軟さを持つことが大切

多くの飼い主さんが困っているのが噛み癖で、うちに来る子の9割が本噛みです。行動治療学になるんですが、プレッシャーがかかると下痢をしたり、できることができなくなったりと、精神的に参ってしまう子も多いんです。だから、うちではホリスティックケアを取り入れて、外からと中からもサポートをしています。飼い主さんから「本当に処分をしようと思った犬が、命を助けてもらいました」って言われたときには、本当にうれしかったです。
トレーニングのやり方はひとつではないから、常に頭は柔軟でないといけないと思います。絶対に先はないですから。代表的な日本のベテラントレーナーの方たちは、常に向上心があるんだろうと思います。また、強い訓練所というのは、所長さんたちが柔軟なんだと思いますね。犬のトレーニングは、確かに疲れますが、辛いとは思わないです。犬が良くなったのを見るのも楽しみですし、辛い、疲れたと言っていると人より上手くなれない。訓練士世界一になるにはハングリーにやらないと。