なりたい仕事のことを知る ナリカタ

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「人を助ける仕事をしたい」と目指した救急救命士。来年には救急車に乗ることが目標です!

小山 桃子さん救急救命士(埼玉西部消防局 勤務)

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祖母が倒れたときに見た、救急隊に感動

高校2年生のとき、家で祖母が倒れたのです。そのときに来た救急隊の人達を見たことが、この仕事を目指すきっかけになりました。祖母が倒れたときには家族は家にいたのですが、倒れたことに気づくのが遅れ、みんながオロオロしていました。でも、私がオロオロしてもしょうがない、「何かやりたい」と思ったんです。祖母は体格が良く、救急隊の三人だけでは担架で運ぶのが大変だったので私も手伝いました。そのときに「人を助ける仕事がしたい」という思いが湧いてきました。救急隊の人はとても行動が早く、その姿を見て感動しました。そして、そのときにこういう仕事があるんだと、救急救命士という資格があることも知りました。

「早く救急車に乗りたい!」と、救急救命士科へ

体を動かすのが好きで、サッカー部に所属していました。高校入学のときからの目標は、体育教師になることでした。高校は進学校、まわりの友達が大学受験の話をしているなかで、私は救急救命士になるにはどうしたらいいのかを調べていました。消防に属しているというのはわかっていたので、公務員になろうと思ったんです。それで公務員系の専門学校の見学に行ったりしていたんですが、インターネットで調べていたら、東京医薬専門学校に卒業時に受験資格が得られる救急救命士科という学科があることを見つけました。それから、公務員になってから救急救命士を目指すのと、救急救命士の資格を取得してから消防に入って仕事をするのとどちらが早いのかを考えて、資格を取得してから入った方が早く救急車に乗れるということがわかりました。母に相談したら「あなたは女だから、先のことを考えたら働くのは早い方がいいんじゃない」と言ってくれました。反対はなかったですね。おばあちゃんが倒れたときに「あなただけ動じなかったよね。向いているんじゃないの」と応援してくれました。

興味があることを勉強できる専門学校は楽しかった

興味があることだったので、勉強するのが楽しかったですね。授業ではシミュレーションの授業が面白かったです。三人一組で救急隊を組んで救急の活動を行います。胸を痛めている方がいると通報が入るという想定で、その方の処置を行うんですが、座学では勉強すれば頭に入れることができるんですが、三人で協力して活動を行うとなると、自分一人の知識や技術だけでは全然うまくいきません。そこは苦労しましたが、達成できると楽しかったですよ。
3年生になってからは、公務員試験と国家試験が控えているというダブルのプレッシャーはキツかったですね。国家試験は3月。公務員試験は夏前から始まり、所沢と川崎を受けて合格しました。職場を所沢に決めたのは、もともと祖母と母が住んでいた街で、祖母がきっかけで救急救命士を目指しましたから。ただし、職場は決まっても、最後の国家試験に合格しないと3年間が無駄になってしまうので、2時間半の通学時間も有効に使って勉強しました。国家試験に合格したときは、うれしかったのと同時にほっとしましたね。というのも内定をもらってから、国家試験を控えているということでこちらの救急隊の方が対策のために勉強会を開いてくださり、7回ほど1対1で教えていただいたんです。「これは落ちたらまずいな(笑)」と思っていたので、ほっとしました。

細かいことに気づく、観察力と気遣いが大切

私は第一大隊所属ですが、第二、第三とあり、仕事は朝の8時30分から次の日の8時30分までの3交代制です。今は、火災のときに出動し、ホースをのばしたり、はしごを持っていったり、教えてもらいながらやっています。現場は大変ですね。火災のほか、交通事故でガソリンが漏れてしまって危ないときそれを処理するために出動したり、救急隊が3人だけでは人手が足りないというときに出動したりすることもあります。今は、国家試験のために勉強したことが全部吹っ飛ぶくらい(笑)勉強しなくてはなりません。最初は、救急の仕事ができなことが不満でしたが、隊の先輩と話しているときに、救急隊が活動しているときには消防隊に救命活動で来てもらったり、事故で救急に呼ばれたときもレスキューで来てもらったり、救急が独自で仕事をしているのではなくて、消防は消防車と救急車の歯車が噛み合って現場の活動ができるんだというのがわかりました。今はまだ救急にはあまり関わってはいないのですが、今の仕事も大事だと思っています。先輩方に紐の結び方など細かなことで注意を受けるのですが、そういう細かいことに気づけないと、現場に出たときに重要なことに気づけないので、観察力や気遣いはどの先輩方もすごいなと思います。そして、この仕事は人とのコミュニケーションが一番大事だと思います。そして、使命感や責任感。命を預かるわけですから、病状などを悪化させないように気を遣い、患者さんのことを考えて行動します。また、患者さんに関わる家族の方にも声をかけたりすることも。一番不安なのはそういう方たちですから。
目標は、救急車に乗ること。消防署に入ってから救命士を目指すとなると救急車に乗れるまでに10年かかると言われています。私は、来年には乗りたい!と思っています。