救命処置で命をまもる。
救急の現場に真っ先に駆けつける命のヒーロー
交通事故や急病の場合、救急車が駆けつけて病院に搬送することがありますが、この救急現場や救急車の中で、救急救命処置を行うのが「救急救命士」です。一刻を争う事態の場合、数分、数秒が命を左右したり、処置や判断が遅れることで後遺症が残ったりすることもあります。逆に、交通事政などによる重傷患者や脳機能、循環器系の急病の場合、的確な初期治療が早ければ早いほど助かる確率は高くなります。
これまで、日本の救急隊員には、初歩的な応急処置をすることしか許されておらず、病院に搬送される間に病状が悪化したり、救えるはずの命が救えない、といったこともありました。そこで、救急隊員の中に、より医療に関する専門知識を持った人を入れることによって、早い段階で、より高度な救命処置を行えるようにと制度化されたのが「救急救命士」という国家資格です。救急救命士には、一般の救急隊員にも行える「血圧の測定」「人工呼吸」といった処置の他、「半自動式除細動による除細動」「器具を用いた気道の確保」「乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保」「薬剤投与」という、救急救命士にしかできない特定行為が認められており、現場では無線や携帯電話を使い、医師から具体的な指示を受けながらこうした処置を行います。
救命の現場では、子どもからお年寄りまであらゆる患者さんが対象となりますが、高齢化社会といわれる現代、急病で運ばれる高齢の方が年々増えているのも現状です。一人でも多くの命を救うためにも、救急救命士は今後さらに必要とされる専門医療資格だといえます。