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医療情報管理者の仕事

電子カルテや検査情報、財務情報まで、
医療現場における情報システムを守ります

医療情報管理者の仕事は、「医療情報技師」として働くのか、「診療情報管理士」として病院に所属するのかによっても業務内容が変わってきます。
さらに「医療情報技師」の場合、病院側に所属するのか、外部のソフトウェア開発会社やシステム開発会社に所属するかによっても、仕事の範囲が異なります。

「医療情報技師」の仕事

医療情報技師は、電子カルテや患者さんの個人情報、人事や財務関連など、病院の大切な情報を管理するためのシステムを企画、開発し、運用管理、保守までを行います。

問題点を見出し、情報システムを制作

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医療情報システムを制作するには、まず現場の状態や医療スタッフのニーズを把握しなければなりません。 そのため、医師や看護師、医療事務といった現場のスタッフから、現在の情報システムに関して困っていること、改善してほしいことなどをヒアリングします。 その情報をもとに、どういった情報システムがあれば問題が解決するかを考え、必要なシステムを開発していきます。 開発については、外部の開発会社のエンジニアや医療情報技師と一緒に開発することもありますし、簡単なシステムであれば、医療機関に所属する医療情報技師が一人で開発することもあります。

開発した情報システムの管理と運用

医療情報システムは、開発して終わりではありません。仕上がったシステムに問題はないか、また、実際の現場できちんと運用されることも重要です。 そのため、新しく開発されたシステムの扱い方や活用方法を、医師や看護師など、システムを実際に利用するスタッフに、分かりやすく説明、指導することも大事な仕事の一つ。また、実際に使用していく中で不具合やトラブルなどが起こった場合にも、随時対応していきます。 医療情報システムには、患者様の個人情報や病院の機密情報なども含まれているため、システムを作るだけでなく、セキュリティ面なども含めシステムが安全に、正しく利用できるよう管理、保守することまでが、医療情報管理者の大切な仕事です。

「診療情報管理士」の仕事

診療情報管理士の仕事は、大きく3つに分類できます。

カルテの収集と内容チェック

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病棟からカルテや看護記録などを集め、足りない書類がないか、検査や手術の記録、診療の経過などが完全に書かれているか、診療内容は患者様に適切だったかなど、確認事項は実に広範囲。 しかし、これが医療の安全や患者様の命につながっているため、正確性と的確な判断が求められます。

最も専門性が求められる業務「コーディング」

カルテのチェックが終わると、患者様の病気を分類する「コーディング」と呼ばれる作業を行うのですが、これが、診療情報管理士の業務の中で最も専門性の高い業務といえます。 コーディングは、国連世界保健機関(WHO)が管轄する国際的な疾病分類基準(通称「ICD」)に基づいて患者様の病気を分類する作業。 正確な統計や分析ができるようになるため、病院の経営や医療の研究、改善に欠かせない大切な業務です。

データの分析と活用、管理

カルテは、患者様の重要な個人情報でもありますから、情報の機密や徹底した管理が第一。登録したカルテは、必要な時にいつでもスムーズに提供できるよう、規則的に保管しておきます。 そして、統計データを作成したり、データを分析することによって、病院の経営に無理やムダがないかをチェックしたり、研究材料として医療機関や国の研究所にデータを提供することもあります。 また、患者様から病気や治療方法について問合せがあったり、時にはクレームがくることもありますが、そういった時に対応することも、診療情報管理士の大切な仕事です。