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仕事を知る

色彩設計とは

作品の世界観に合わせて
キャラクターなどの“色”を決める重要な仕事

色彩設計は動画として動き出した"絵"に最後に命を吹き込むアニメーション制作の重要な部分を担当する仕事です。
図のように、映画やテレビのアニメーションはさまざまな工程で作成されます。作画スタッフが描いた絵(動画)をスキャナーでデータ化し、コンピューターでデジタルペインティングする際に、それぞれが勝手に色をつけていくわけにはいきません。たとえば、子供向けのアニメーションなら作品を通して明るい色の世界観になりますし、戦争を題材にした作品ならトーンを落とした色の世界観になります。そうした世界観に合わせて、登場するキャラクターやモノの色を決めていくのが色彩設計の仕事になります。
こうして決められた色にしたがってデータ化した動画に色がつけられていきます。
最初は動画をデータ化するスキャナーや、デジタルペインティングをするペインターとしてアニメーション制作に加わっていきますが、経験を積むことで色彩設計の仕事にステップアップしていきます。

SPECIAL INTERVIEW

色彩設計の魅力

黒柳 朋子さん

打ち合わせでは自分のイメージも発言作品のイメージづくりに"色"の面から参加します

プロフィール

星方武侠アウトロースター(サンライズ)、タッチspecial風のゆくえ(グループタック)、GEAR戦士電童(サンライズ)、ファイナルファンタジー・アンリミテッド(GONZO)、MÄRヘヴン(シナジーSP)など、テレビ作品を中心に色彩設計を手がける。

アニメーション制作の仕事は自分にとって生活の大部分!

私は主にテレビ作品で色彩設計を担当しています。本当は少女マンガが原作で繊細なイメージの作品に関わりたいと思っていたのですが、色彩設計として任されたのは男の子向けの格闘アクション作品でした。
作品がスタートする前に監督やそのほかのスタッフの方たちと打ち合わせをしているときは、いろいろな人の考えを聞くことができますし、自分のイメージを発言しながら作品に関わっていくこともできて、色彩設計の仕事を楽しいと感じられる瞬間です。
そして、この仕事のむずかしいところは「カッコよければそれでいい」ということにはならない部分ですね。マンガなどの原作のある作品なら、原作者や出版社の意見もきちんと聞いて色を考えなければなりませんし、原作のないオリジナル作品でも主に玩具メーカーなどのスポンサーの意向を反映させないでひとりよがりな色はつけられませんから。そうしたいろいろな声を聞き出しながら、自分の個性を反映させた色彩設計をしなければならないのがこの仕事の難しいところだと思います。また、色彩設計は多くのスタッフと接してたくさんのことをこなさなければならない仕事です。明るい性格や人当たりの良さが求められますし、ものごとを進めていく際の整理能力も必要とされます。
これからアニメーション制作の仕事を目指そうというなら、基礎的な色彩の仕組みを学び、映画や絵画、ファッションショーや演劇などのあらゆるエンターテインメントに接してセンスを養う心構えを持ってください。専門学校などに入って就職を目指すなら、もうただのアニメーションファンではありません。そのときには、プロになるための準備が始まったのだと思って、覚悟を決めて目標に向かってがんばってください。