なりたい仕事のことを知る ナリカタ

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イルカショーでの「ワーッ」という歓声、 お客様の感動する姿に喜びを感じます

脇阪 柚香さんドルフィントレーナー(アクアワールド 茨域県大洗水族館)

  • インタビュー内容・勤務先等は取材当時の情報となります

両親を説得してイルカのトレーナーを目指し専門学校へ

海獣展示課に所属し、イルカ担当としてイルカの飼育とショーの運営に携わっています。小さい頃からイルカが大好きで、夏休みの自由研究にイルカについて調べたり、絵を描くのもイルカでした。どこの水族館に行ったかは覚えていませんが、「イルカ可愛いな」と思ったことがきっかけでした。中学生のときに「イルカのトレーナーになりたい」と言って、両親や親戚に反対されました。「無理だよ、体力もキツイし、まず水族館にはなかなか入れない」と言われて一度は目指すことをやめたんです。でも、高校生になって進路を決めるときに、やはり水族館に就職したいと思いました。水族館への就職を考えていると、イルカのショーをやりたいという気持ちになりました。それならば若いうちの方がいいし、早く働きたいから確実に水族館に入れた方がいいと考え、東京コミュニケーションアート専門学校は就職率が高いので、両親を説得して専門学校へ進学しました。東京コミュニケーションアート専門学校は、専攻名がドルフィントレーナー専攻だったので、これはドルフィントレーナーになるしかない!と思いました。

多くの人にイルカを好きになってほしい

就職試験の半月前まで、ここで1ヶ月間の研修を受ました。研修先として大洗水族館を選んだのは、「他の水族館と空気が違う」とか「考え方が違う」、という話を聞いていたので、どんな水族館なのかと興味を持ったからなんです。仕事も厳しいと聞いていたのですが、実際に来てみると話に聞いていたほど厳しいわけではなく、反対にすごく面白そう、ここだったら働きたいと思っていたところ、そこにちょうど求人があったので、これは受けなくてはと試験を受けました。そして入社し、ずっとイルカの担当をしています。仕事では、ショーでのお客様から反応が一番うれしいですね。たとえばイルカがジャンプをしたら「ワー」という一人ひとりの歓声が、ひとつに固まって「ワァーッ」、「オーッ」という音になって響いくるんです。「スゴい!」とお客様が感動してくださるのを見て、私も「そうだね、イルカはスゴイよね」と嬉しくなります。多くの人がイルカを好きになってくれたらいいなといつも思っています。イルカって人間の子供みたいなんです。やる気があるときもあればすねるときもあるし、「かまって」と来るときもあれば、こちらがちょっと変なことをすると「もういい」って行ってしまうんです。また、一人で遊んでいる姿を見ると可愛いなと思います。

多くの水族館での研修が仕事に役立っている

仕事に就いて思うんですが、学生時代に研修にたくさん行ったことが良かったです。ふれあい施設と水族館、小さい水族館と大きな水族館、都会の水族館と、いろいろなタイプの水族館を見ることができました。ショーの見せ方は施設ごとに全然違うので、参考にしています。また、私はもともと人前で話すのが得意ではないし、今でも好きではないのですが、学生時代に学校のイベントなどで人前に立って発表する機会があって、そのおかげで今、できるようになったんだと思います。反対にもっとやっておけばよかったのが、水泳です。私も人並みには泳げますが、水中ショーの他の人たちの動きを見ると、飛び込みも格好いいし泳ぎがキレイで、また速く泳げるとイルカと息を合わせられるのでスゴいなと思います。また、私の場合は水泳だけではなくて、体幹、バランス感覚をもっと養っておけば良かったと思います。

将来はずっと水族館で働いていたい

私はまだトレーニングが上手くないんです。イルカに“コレ”を伝えるというのが伝わらずに、イルカが「何?」と言っているのがわかるんです。先輩を見ていると、ここだという時に褒めて、ここだというときにダメを出すというタイミングがすごいんです。先輩に聞いてみたらそれはシックスセンス、勘だと。それで、私も今までの経験から、このときに褒めたらうまくいったというデータを元にトレーニングしてみたりしています。目指しているのは、イルカの魅力をもっと伝えられるドルフィントレーナー。だから、イルカの気持ちをもっと理解できるようになりたいです。気持ちがわかればトレーニングも上手くいって、トレーニングが上手くいけば、ショーですごく格好いいジャンプや技ができるようになり、そのショーを見てお客様がイルカを好きになってくれると思います。この施設での仕事は5年契約なので、あと2年ほどで新しい施設に行きたいと思いますが、ここでの経験を活かしてその後の4〜5年はドルフィントレーナーとして働いていたいと思います。さらに先の将来、ずっと水族館で働いていたいですね。この水族館にはドルフィントレーナーとして入りましたが、アテンダントという職種があったり、水槽の掃除担当や警備員の方もいるし、水族館にもいろいろな仕事があるんだと知りました。この水族館ではお母さん、おばあちゃん世代の方がボランティアとしてお客さんと一緒に何かを作ったり、イルカのことを教えたりもしているんです。将来は、バックヤードツアーで解説をしたりする仕事もいいなと思っています。