あるお店の天然酵母を使ったパンを食べたときに、自分も「パン職人になりたい！」と思いました。その頃は薬剤師として働いていたのですが、そのパン屋さんに出会ったことでパンへの興味が高まってきて、本格的にパン作りを勉強しようと思って学校に入学しました。この学校を選んだのは、天然酵母パンの授業のカリキュラムがあったこと、私が以前からおいしいと思っていたパン屋さんのオーナーが講師だったこと、体験入学のときに教えていただいた先生方がいい方だったこと、そして年齢的にも開業を見据えておかねば、と思ったからでした。授業中は、パン作りはもちろんですが、先生ご自身もパン屋のオーナーだったので、お店をやるための心構えや、プロ意識なども学べました。

卒業するときはパン店に就職して経験を積むことも考えましたが、私が目指している天然酵母のパン屋さんは家族経営のお店が多く就職でのご縁はなかったので、研修のような形で勉強させてもらい、自身でも酵母を起こしてレシピを考え、京都の手作り市に出店したり、ギャラリーを借りて展示販売のイベントをしたりして活動を続けてきました。５年ほどそうした活動をしていくことで、経験や人脈、顧客を増やしてゆき、今のお店をオープンしました。
製造も販売もひとりでしているため営業中は仕込み作業ができず、また天然酵母のパンは製造に時間がかかるのでやむをえず週４日営業とし、閉店後や休日も作業にあてています。また、 パンの中にいれるフィリング（具材）も全部手作りしているためさらに時間もコストもかかりますが、国産小麦や有機野菜などを使ってお客様に安心、安全を提供したいというのは私のこだわりでもあり、お客様にも食の安全に興味を持ってもらえたらうれしいです。