なりたい仕事のことを知る ナリカタ

  • ナリカタコラム
誰かが喜んでくれると何だかうれしい、その思いが僕のマンガの原点です。

志賀 伯さんプロマンガ家(講談社「月刊少年マガジン」で連載中)

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「おもしろかった」という先生の言葉が心に沁みた

「四稲家の人々」 ©志賀伯/「月刊少年マガジン」講談社

中学・高校時代、いわゆる「棒線と丸顔」だけの4コママンガをよく描きました。およそマンガと呼べるモノではありませんでしたが、それでも自分が描いたものを誰かが喜んで読んでくれるのが何だか嬉しい、それがマンガ家という仕事に興味を持ったきっかけ。その思いは今も変わらず、プロマンガ家としての僕の原点です。入学して感じたのは、「マンガを描くのは、こんなに大変だったんだ」ということ。たった一本の線がきれいに描けるときと、そうでないときがある。その線一本を安定的に上手に描けるのが、プロの仕事だと。修正液の使い方、背景の描き方などの些細なところにも、知らなかったことがたくさん詰まっている。それまでは何気なく眺めていたマンガの裏の作業の膨大さに気づきました。そうやって、苦労して描いた作品を学校の先生に見せたとき、先生が「おもしろかった!感動した!」と喜んでくださった。その言葉と先生の嬉しそうな顔が、涙が出そうなほど僕の胸に沁みました。学校で学ぶことの意義は、きちんと基本を学べること。線の引き方から始まり、ベタの塗り方、トーンの貼り方、デッサンや構図など、初めて絵を描く僕には、学ばなくてはならないことがいっぱいありました。

コミック化の夢が実現!

「四稲家の人々」 ©志賀伯/「月刊少年マガジン」講談社

も、実はそれ以上に、学校で学んでよかったことは、「マンガを描きたい!」というシンプルな夢を持つたくさんの仲間に出会えたこと。マンガを仕事にすることは、かなりの冒険だし挑戦です。だからこそ、そこに向かって刺激しあえる、気持ちを高めあえる「仲間」がいないと、がんばり続けることは難しいと思います。そうした緊張感のある環境で集中できている時なら、先生の何気ない一言ですらずっと心に残り続けるものです。ある日、先生から「コレ、読んでみたら」と、一冊のマンガを薦められました。業田義家さんの短編マンガ集「ゴーダ哲学堂空気人形」。短いからこそムダなものがなく、先生が日ごろから話されていた「マンガに必要なエッセンス」が詰まっている。今でも、ちょっと煮詰まったなと感じたときには、その本を読み返してみたりもします。2009年2月から「月刊少年マガジン」(講談社)に連載が始まり、まず目指した夢はコミック化でした。それは、昨年実現できました、その次の目標は、アニメ化できる作品作りかな。自分のキャラクターたちがどう動き、どんな声でしゃべるのか?ドキドキ・ワクワクします。