なりたい仕事のことを知る ナリカタ

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利用者の望む生活に限りなく近づけるようにひとりひとりの思いをきちんと受け止めたい

石倉 志織さん介護福祉士(特別養護老人ホーム なぎさ和楽苑 勤務)

  • インタビュー内容・勤務先等は取材当時の情報となります

一緒にいると元気になれる!与えるより与えられるもののほうが多い

私は現在、特別養護老人ホームで認知症のユニットに所属し、入居されている方々の生活全般の支援をしています。認知症の方とのコミュニケーションにおいて意識しているのは、相手の世界の中で関わるということ。普段、健康に生活している自分たちの感覚で伝えようとすると、うまく伝わらなかったり、傷つけてしまうこともあるんです。でも、利用者の目線に立って話せば、自然と相手の世界に入っていけるんですよ。
入居者の方々には、毎日たくさんの元気と笑顔をもらっています。ひとりでは得られない幸せや感動を味わえるので、毎朝、目が覚めると「早く仕事に行きたい!みんなに会いたい!」って思うんです。これはもう仕事というより、私の生活の一部ですね。
職場では、食事の準備や片づけなども含めて、入居者の方々の身体上のお世話をします。介護というと、力仕事というイメージが強いかもしれません。でも、コツを覚えれば大丈夫。力はそんなに必要ないんですよ。ですから学生の皆さんにも、この仕事に興味を持ってもらえたらうれしいです。

どんな時も、利用者の気持ちになって考えられる職員でありたい

高校時代、私はあるドキュメンタリー番組をきっかけに介護福祉士の仕事を知り、専門学校に入学しました。在学中の一番の収穫は、実習に行けたこと。入学したばかりの頃は正直「この仕事に決めていいのかな」と迷ったりすることもありました。でも、実習先で実際に人とふれあっていくうちに「やっぱりこの仕事がしたい!」と改めて思ったんです。
最初は不慣れなことが多くて大変でした。でも、私のことをすごく慕ってくださる方がいたり、失敗した時に冗談を言って励ましてくださる方もいて。そんな皆さんとの心のやりとりが、本当に心の支えになりました。今でも落ち込んだ時、当時のことを思い出すと「頑張ろう」って思えます。

ここにいると、私がしていることよりも、入居者の方々にしていただいていることのほうが、断然多い気がします。だから、いつでもどんなときでも、利用者の気持ちになって考えられる職員でありたい。全員の希望を100%叶えるのは現実的に難しいことですが、利用者の望む生活に限りなく近づけるように、全力で働きたいと思っています。自分に思いがあるように、利用者にもそれぞれの思いがある。それをきちんと感じて、受け止めたい。そうやって向き合えば、自分がどんなに大変でも、相手の気持ちをないがしろにすることはなくなると思います。忙しさや時間を言い訳にしないで、これからも常に最大限の努力を続けていきたいです。